『旧事諮問録』

江戸幕府に仕えていた人々の証言を記録した『旧事諮問録』(編纂時期=明治20年代半ば)によると、幕府の将軍は自らのことを「こちら」「自分」などと言っていたようである。

問 将軍の御言葉はどういう風ですか。
答 御自分様のことを「こちら」と申されました。(中略)将軍様は御自分のことを、自分が自分がともおっしゃったこともございました。こちらとか自分とかおっしゃいました。


将軍の正室は自らのことを「わたくし」と言っていた。

問 御台様は何と申されましたか。
答 御台様は「私(わたくし)」とおっしゃいました。私は嫌いじゃとか、好きじゃとか、あーじゃ、こーじゃとおっしゃったのでございます。公方様は、いやだ、好きだとおっしゃって、別に通常の言語と変ったことはございませぬ。


近仕の者は将軍のことを「上(かみ)」と言っていた(ただし、将軍の面前では言わない)。

問 貴君方が、将軍のことは何と御呼びなさいますか。
答 上(かみ)です。
問 将軍の面前で、上とか御前(ごぜん)とか何とか言うことがありませぬか。
答 ありませぬな……


『旧事諮問録』、こうした瑣末な事柄についての言及が結構おもしろい。

【典拠文献・参考文献】
旧事諮問会編・進士慶幹校注『旧事諮問録(上)』岩波文庫 1986年1月
旧事諮問会編・進士慶幹校注『旧事諮問録(下)』岩波文庫 1986年2月

にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 愛媛県情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 松山情報へ
にほんブログ村

テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QRコード