道後温泉本館「振鷺閣」

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風格ある道後温泉本館の建物にいっそうの趣きを添えているのが大屋根の上の「振鷺閣(しんろかく)」と呼ばれる塔屋である。建築当時には、なぜこんな無用のものを取り付けるのかと議論になったそうだが、道後の町の火の見櫓ということで理解が得られたという。火の見櫓という名目であったから、当初は中に半鐘が吊るされていた。

「振鷺閣」という名称は『詩経』「周頌」の「振鷺于飛(振鷺ここに飛ぶ)~」に拠ったものだという(「振鷺~」は豊作を願う鷺舞を詠った詩)。建築当初、「振鷺閣」そのものが無用といわれたほどだから、閣上の白鷺は予算が認められず、有志の寄付で製作された。大正4年頃、修理のため取りおろしたところ、台座に伊佐庭如矢、泉丈三郎、清水金三郎、富田喜平、麻田宇平、三好徳之、越智通政、梅木富次郎、蜂須賀兵蔵、三浦哲也ら寄付者の名が刻まれていたことがわかった。真鍮で製作されたこの白鷺ははじめ金色に輝いていたが、金色の鷺はいないという意見が出たため、白ペンキで塗られたという。白鷺が北の方角を向いているのは、本館の北側が当初は正面入り口であったためである。

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「振鷺閣」の内部の広さは一坪ほど。中の太鼓は「刻(とき)太鼓」として、一日に三度打ち鳴らされ(開館時刻の午前六時に六回、正午に十二回、午後六時に六回連打する)、道後の町に時を告げている。


【参考文献】
「道後温泉」編集委員会編『道後温泉 増補版』松山市 1982年3月
石川忠久『新釈漢文大系112 詩経(下)』明治書院 2000年7月

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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