子規、上野動物園での句

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子規、明治27年7月の『上野紀行』に上野動物園の象を詠んだ次のような句がある。

寺院々々の中を通りぬけて音楽学校美術学校の前より動物園のほとりに出づ。百鳥百獣檻を共にし籠を並べたり。
  夏痩としもなき象の姿かな


句は「夏やせということがない象の姿よ」という意であろう。このときの紀行、子規が上野動物園で詠んだのはこの象の句だけである。

明治35年5月刊・石川千代松『上野動物園案内』は同園の象について次のように記している。

第三室 象室ノ前ニ出ル。此室ニ居ル象ハ明治二十一年ニしあむ国皇帝カラ我帝室ヘ寄贈ニナッタいんどざうThe Indian Elephantデ、始メハ牝牡二頭デアッタガ、牝ノ方ハ不幸ニモ明治二十六年ニ病死シテ、牡ノ一頭丈ケガ今ニ残リテ居ル。総テいんど産ノ象ハ性質ノ温和ナモノデアルカラ、人ニ使用セラレテ種々ノ用ヲシ、又見セ物杯ニ出テ藝ヲスルモノデアルニ、此ノ象ハ甚ダ性質ガ好クナイノデ本国デモ先年カラ、其ノ性質ヲ直ヲサウト思フテ、既ニ明治二十六年ニハしあむ国カラ、熟練シタ象扱人ヲ呼ンデ見タコトモアッタガ其扱人ハ此象ヲ見テ、此レハ猛悪ナ象ダカラ到底訓練スルコトハ出来ナイ、若シ本国ニ此様ナ象ガアルトキハ銃殺シテ仕舞フノデアルト云フテ此象ヲ使用スルコトヲ非常ニ恐レテ居ッタ。夫(ソ)レ故誠ニ残酷ナ様デアルガ仕方ナシニ今デモアノ様ニ足ヲ結ビ付ケテアルノデアル。


子規が句に詠んだ象はシャム(タイ)国王からおくられた牡のインドゾウだったようである。

〔掲載画像は愛媛県立とべ動物園のアフリカゾウ〕

【典拠文献・参考文献】
石川千代松『上野動物園案内』東京帝室博物館 1902年5月
『子規全集』第13巻(小説 紀行) 講談社 1976年9月

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