林原耒井「片隅で~」の句

片隅で椿が梅を感じてゐる


林原耒井(はやしばららいせい 1887-1975)の句。晩年に詠まれた耒井の代表句である。林原耒井は福井県の生まれ、本名耕三。俳号の耒井は本名の「耕」の字を分解したもの。旧制一高在学中より夏目漱石に師事、漱石最後の直弟子である。漱石の信頼が厚く、晩年の作品の校正はかれに任されていた。

耒井は松山ゆかりの人物で、大正時代に5年間、旧制松山高校の教授をつとめていた。在松時代には川本臥風と「松高俳句会」を結成している。「薄ら日の沈丁花寒さ帰る色」「銀杏四本となりし見て去る暮の春」などが在松時代の句(「銀杏~」は松山離任にあたっての句。前書には「創立日尚浅き松山高校に赴任してより五春秋、卒業記念の銀杏大樹四本を加へしこの春暮れんとして任を台北に転ず」とある)。耒井の句はその初期のものは浪漫的傾向が強いが、晩年の句には余裕のあるおかしみや風刺性、良質の諧謔があるという(大岡信の評)。「片隅で~」にはこの晩年の句の特色がよくあらわれているといえるであろう。

【典拠文献・参考文献】
富安風生・水原秋桜子・山本健吉監修『現代俳句大系』第11巻 角川書店 1972年7月
大岡信『百人百句』講談社 2001年1月
大岡信『折々のうた 三六五日 日本短詩型詞華集』岩波書店 2002年12月

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
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