子規「松山言葉四十句」

おにごとやはては泣き出す秋のくれ
つけだきの燃え尽きて秋のとちん飛ぶ
じゝんこのあたりに秋の寒さ哉


上引は子規の「松山言葉四十句」(明治29年9月1日付「海南新聞」発表)の中の句。「松山言葉四十句」は松山地方の方言を使った連作俳句。上引の句では「おにごと」「つけだき」「とちん」「じじんこ」がその「松山言葉」になるが、いずれも今では死語である。「おにごと」は「おにごっこ」。「つけだき」「とちん」「じじんこ」は諸種の方言辞典をみても記載がなく、武智正人『愛媛の方言-語法と語彙-』に「つけだき=付け焚き。つけ木」、「じじんくぼ=じじのくぼ。爺の窪。ぼんのくぼ」とあるのみであった。「じじんこ」はこの「じじんくぼ」が転じたものであろう。「とちん」は意味不明。「松山言葉四十句」には他にも「こまがりに刈り残されて山つゝじ」「石菖や薫風起るへごの鉢」「筍を四五本つけてあやぎ売」「おこし絵に灯をともしけり夕涼み」「歯釜つけて飯粒沈む清水哉」「五郎櫃を追ひかけて行く蜻蛉哉」「茸狩のしやしやぶは児のみやげ哉」「こほる手やしをりの総(ふさ)の紅に」「老いぼれしくひつき犬をしぐれけり」「初時雨木もりかぶす腐りけり」などの句があるが、現在こうした句の「松山言葉」がわかる人は地元にもなかなかいないのではなかろうか。

【典拠文献・参考文献】
武智正人『愛媛の方言-語法と語彙-』愛媛大学地域社会総合研究所 1957年12月
和田茂樹『人間 正岡子規』関奉仕財団 1998年6月

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 松山情報へ
にほんブログ村


テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QRコード