光源氏と伊予国

『源氏物語』に登場する地方官には「伊予介」「紀伊守」「豊後介」「大夫監」「常陸介」などがある。このうち「伊予介」は伊予の国司の次官、空蝉の夫がこの官に任ぜられていて、物語中では彼はこの官職名で呼ばれる(一度だけ「伊予守朝臣」と呼ばれる)。「夕顔」巻には、この「伊予介」が任地伊予から京都にもどり、光源氏の邸に挨拶に行く場面がある。物語には書かれていないが、研究者によると、光源氏は遙任の伊予守(伊予の国司の長官。遙任は任国に赴任せず国司としての収入のみを受け取る)を兼官しており、空蝉の夫である伊予介が光源氏の邸に挨拶をしに行くのも公務であるという。こういう事情は物語中でふれられていなくても、当時の読者なら容易に察することができたはずだと研究者は指摘している。「夕顔」巻の時点での光源氏の役職は近衛中将、本文に言及はないが、彼はこれに遙任の伊予守を兼ねていた。そうしてみると、同巻の時点では、光源氏の収入のうちの何分の一かは伊予国からの税収でまかなわれていた(物語の設定上)ということになる。

【参考文献】
石田穣二 清水好子校注『源氏物語 一』新潮日本古典集成 2002年2月
白方勝『源氏物語の人と心』風間書房 2005年5月

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テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

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