「弁当」の語源

「弁当」の語源は「面桶(メンツウ)」であるという説が江戸の後期ごろからあって、民俗学者の宮本常一もその説で「弁当」の語の由来を述べている。

なお家の外でとる食事をベントウといいますが、これはメンツウからきたことばのようです。面桶と書きます。曲物の桶で、一人まえずつの食事をいれて、野外で食事するときこれでたべたのですが、室町時代の終わりごろ、武士たちが戦場へ出て戦うとき、面桶に食物をいれて持っていきました。それがなまってベントウといわれるようになり、字も弁当という当て字が多く用いられて、今日にいたったのでした。(宮本常一『食生活雑考』)


「面桶」は檜・杉などの薄板を曲げて作った楕円形の器。古くは道元の『正法眼蔵』などにその語の用例[注]があるが、この「メンツウ」が「ベントウ」に変化したというのはどうも無理があるようである。『日本国語大辞典』によると、「弁当」の語源は中国の南宋ごろの俗語「便当」に求めることができるそうで、もとのその「便当」とは「便利なこと」という意。便利なこと→便利なもの→携行食という意味の変化で、今の弁当の意が生じたという(「弁」は「便」の当て字)。「弁当」の語源に関してはこの「便当」説が妥当なようである。

[注]-『正法眼蔵』「洗面」に「面桶をとりて、かまのほとりにいたりて、一桶の湯をとりて、かへりて洗面架のうへにおく」等とある(岩波文庫本『正法眼蔵(三)』123頁)。岩波文庫本の脚注では「面桶」は「洗面のためのおけ」。

【典拠文献・参考文献】
『宮本常一著作集』第24巻 未来社 1977年3月
道元著・水野弥穂子校注『正法眼蔵(三)』岩波文庫 1991年7月
『日本国語大辞典 第二版』第11巻(「弁当」の項)小学館 2001年11月

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テーマ : 歴史
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