虚子「野分」の句

大いなるものが過ぎ行く野分かな


高浜虚子の句。野分(のわき)は野の草を吹き分ける激しい風、主として台風を指す。句の野分は昭和9年(1934)9月21日、西日本各地に大きな被害をもたらした室戸台風のことである(句の詞書に「昭和九年九月二十一日 家庭俳句会。鎌倉、鶴ケ岡八幡楼門。野分吹く。号外に颱風京阪地方を襲ひ大阪天王寺の塔倒ると。」とある)。この句、「ホトトギス」発表時には、「大いなるもの北にゆく野分かな」であったが、句集『五百句』収録にあたって「大いなるものが過ぎ行く野分かな」と改訂され、句の価値が高まった。虚子代表句の一つ。

この句のほか、「遠山に日の当りたる枯野かな」「蝶々のもの食ふ音の静かさよ」「桐一葉(きりひとは)日当りながら落ちにけり」「白牡丹(はくぼたん)といふといへども紅(こう)ほのか」「初蝶来(はつてふく)何色と問ふ黄と答ふ」「蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな」「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」など、虚子の代表的な句はどれもおもしろいと思うのだが、「松山では虚子の人気はそれほど高くない」(小西昭夫)といわれる。なぜであろうか。

【典拠文献・参考文献】
高浜虚子『虚子五句集(上)』岩波文庫1996年9月
高浜虚子『虚子五句集(下)』岩波文庫 1996年10月
小西昭夫『虚子百句』創風社出版 2010年1月

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
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