昔の生活(裸足で歩く)

履物をはかず裸足で路上を歩くなどということが考えられるであろうか、宮本常一(民俗学者)によると、昭和20年以前には裸足で歩いている者はきわめて多かったという。下に引くのは宮本常一著『絵巻物に見る日本庶民生活誌』の一節、宮本は「伴大納言絵詞」の絵図を話の糸口として次のようにいっている。

「伴大納言絵詞」を見て最初に目にとまったのは、人びとの足もとであった。「火事だ」といって飛び出していったのであるから、裸足である者の多いのはうなずけるが、全般に見てその当時は履物をはいているよりも、裸足が多かったようである。今はもう裸足はほとんど見かけなくなったが、昭和二十年以前には裸足で歩いている者はきわめて多かった。バラスも敷かず小石もない道ならば、裸足で歩くことは気持のよかったもので、一般民衆は裸足の生活であり、家へはいって座敷にあがるときも、べつに足を洗わぬ者が多かった。一般民衆の家には畳などはなかったのであるから、座敷も板敷か莚(むしろ)や薦(こも)の敷いてある程度で、今日の生活とはおよそ異なっていた。


今のように生活が豊かになると、昔からそうであったように思いがちだが、数十年前までは古代・中世をひきずっているような生活スタイルが残存していた。裸足で歩くというようなこともその一つであろう。

【典拠文献・参考文献】
宮本常一『絵巻物に見る日本庶民生活誌』中公新書 1981年3月

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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