『坂の上の雲』-子規「病人はトクなものぞな」の台詞

司馬遼太郎の『坂の上の雲』「子規庵」の章に次のような文章がある。

このところ子規の既成歌壇への批判は、それらを根こそぎに否定してしまおうとするほどのすさまじさになっている。
「あしがこげん悪口ばかりいうていて、それでも世間の連中ががまんしてくれているのは、病人だからじゃ。これが達者な男なら、世間はとても我慢はすまいぞな。それを思うと、病人はトクなものぞな」
と、子規はいった。


この一節の鍵括弧内、子規の発語として記されている部分は、高浜虚子の次のような記述にもとづいて書かれている。

居士(注-子規のこと)はある時余にこういう事を言ったことがあった。
「私(あし)がこう悪口ばかり言っていて世人が我慢をしているのは病人だからである。これが病人でなかった日にはとても我慢はしていやすまい。それを思うと病人というものはなかなか得なものである。」と、そう言って居士は苦笑した。 高浜虚子『子規居士と余』初刊:大正4年(1915)


『坂の上の雲』では伊予弁がより強調されたかたちとなっているが、「こげん悪口ばかりいうて」の「こげん」というのはどうであろうか。中予地方では使わない表現のように思われる。

【典拠文献・参考文献】
司馬遼太郎『坂の上の雲(二)』文春文庫(新装版) 1999年1月
高浜虚子『回想 子規・漱石』岩波文庫 2002年8月

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 松山情報へ
にほんブログ村



テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QRコード