鰻(うなぎ)

夏バテ防止のためには鰻を食えという歌が『万葉集』にある。

石麻呂にわれ物申す夏痩せによしといふものぞ鰻とりめせ(巻16・3853)


鰻は万葉の時代から栄養価の高い食品とされていたようである。この歌、『万葉集』の原文では「石麿尓 吾物申 夏痩尓 吉跡云物曽 武奈伎取喫」。鰻は「武奈伎」と表記されている。万葉仮名の「武」は「む」であるから、当時は「むなぎ」といわれていた。『日本国語大辞典』によると、奈良・平安時代は「むなぎ」であったそうである。

大阪では鰻丼のことを「まむし」ということもあるらしいが、正岡子規はこの呼び名を非常に嫌った。『仰臥漫録』の中で子規は次のように言っている。

大坂では鰻の丼を「まむし」といふ由、聞くもいやな名なり。僕が大坂市長になったら先づ一番に布令を出して「まむし」といふ言葉を禁じてしまう。


「まむし」=蝮という理由で子規はこの語を嫌ったのであろうか。『日本国語大辞典』によると、鰻丼のことを「まむし」というのは、「まぶし」が変化したもので、飯に鰻をまぶすという意であったようである。

【典拠文献・参考文献】
中西進『万葉集 全訳注原文付(四)』講談社文庫 1983年10月
正岡子規『仰臥漫録』岩波文庫(改版) 1983年11月
『日本国語大辞典 第二版』第2巻(「うなぎ」の項) 小学館 2001年2月
『日本国語大辞典 第二版』第12巻(「まむし」「まぶし」の項) 小学館 2001年12月

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テーマ : 雑記
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