『暗夜行路』の「電気がきた」の記述

志賀直哉の『暗夜行路』――大正の初期頃のことが描かれているこの小説に、当時の生活の一端が記された次のような一節。

また霧のような雨が降り出した。二人は将棋をさした。そして五六度さして、もう疲れ、盤の上も薄暗く、少し不愉快になった時に電気がきた。


一般家庭に電気が普及しはじめたこの時代、電気の供給は夕方一定の時刻になってからだったので、上のように記述されている。

電気を供給する電力会社は、この小説では「電灯会社」と表記。

支度は早かった。隣りの老夫婦も手伝って一時間たらずですべては片付いてしまた。婆さんは荷造りを手伝い、爺さんは電灯会社や瓦斯(ガス)会社などの払いに廻った。


「東京電灯株式会社」のように、「電灯会社」と名のる電力会社も当時はあった。家庭での電気の用途が電灯だけの時代だったので、この名称でも差し支えなかったのだろう。

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〔志賀直哉〕

【参考文献】
『現代日本文学館13 志賀直哉』文藝春秋 1966年11月

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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