「水飯」

『源氏物語』「常夏」の巻に飯に水を注いで食べる「水飯(すいはん)」というのが登場する。

いと暑き日、東の釣殿に出でたまひて涼みたまふ。中将の君もさぶらひたまふ。親しき殿上人あまたさぶらひて、西川(注-桂川のこと)よりたてまつれる鮎、近き川のいしぶし(注-川魚の一種)やうのもの、御前にて調じて参らす。例の大殿の君達、中将の御あたり尋ねて参りたまへり。「さうざうしくねぶたかりつる、をりよくものしたまへるかな」とて、大御酒(おほみき)参り、氷水(ひみづ)召して、水飯など、とりどりにさうどきつつ食ふ。(『源氏物語』「常夏」)


飯に湯を注いで食べる「湯漬(ゆづけ)」が冬の食事であるのに対し、「水飯」は夏の食事。上の『源氏物語』の場合は氷室に保存していた氷を使っての「水飯」だから、貴族ならではの贅沢な食事ということになるのだが、今のわれわれからすればこれ以下はないと思えるほどの粗末な食事。食生活の変化というものがいかに大きいかということが実感させられる。

【参考文献】
石田穣二・清水好子校注『源氏物語(四)』新潮社 1979年2月

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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