鰻の白葡萄酒漬け

ダンテ(1265-1321)の『神曲』に鰻が好物だったグルメのローマ教皇マルティヌス4世(在位1281-85)が死後、煉獄でその飽食の罪を償っているという記述がある。

彼の後ろにいる、他の誰より刺し子のようにひび割れたあの顔は、聖なる教会を両手に抱えたこともあった。トゥール出身で、絶食によりボルセーナの鰻とヴェルナッチャの白葡萄酒を償っている。(原基晶訳『神曲』「煉獄篇」第二十四歌)


『神曲』の古注はこの教皇について次のように記述。

食道楽の罪にかけてはたいへん罪深い人であった。好物の品は数々あったが、特に鰻が好きでボルセーナ湖から取り寄せては白葡萄酒に漬けて溺れ死なせ、それを焼いて食卓に出させた。非常な大好物で、年中それを所望し、自分の部屋の中で鰻を葡萄酒に漬けて溺れさせたほどである。


食料が豊かではなかった当時のヨーロッパでは飽食は社会的な罪だったらしい。鰻も美食とされていたようだが、白葡萄酒に漬けて焼いて食べるというのはいかがなものか。それほど美味とは思えないのだが……。

【参考文献】
平川祐弘訳『神曲 煉獄篇』河出書房新社 2009年1月
平川祐弘『ダンテ「神曲」講義』河出書房新社 2010年8月
原基晶訳『神曲 煉獄篇』講談社学術文庫 2014年7月

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テーマ : 歴史上の人物
ジャンル : 学問・文化・芸術

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