大岡昇平、『坊っちゃん』は読み飽きない小説……

松山を舞台とした夏目漱石の小説『坊っちゃん』。作家の大岡昇平はこの小説を数十回読んだという。

私は若いころからスタンダールをやっていて、『パルムの僧院』を二十遍以上読んでいる。ところで漱石の『坊っちゃん』の方は多分その倍ぐらい読み返しているのである。


読むたびに新たなおもしろさの発見があって、飽きないと大岡は述べている。

もし『猫』と『坊っちゃん』を漱石の代表作とする意見があれば、私はそれに賛成する。しかし『猫』は少し人を面白がらせようとして無理をしている。学をひけらかしてきざになっているところがあるが、『坊っちゃん』にはそれがない。(中略)こういう多彩で流動的な文章を、その後漱石は書かなかった。また後にも先にも、日本人のだれも書かなかった。読み返すごとに、なにかこれまで気づかなかった面白さを見つけて、私は笑い直す。この文章の波間にただようのは、なんど繰返してもあきない快楽である。傑作なのである。


漱石の諸作の中でも、おもしろさという点ではこれにまさる作品はない。松山の悪口がさかんに出るが、松山の人間にとってはそこもまた読みどころである。

▼ 松山坊っちゃん会建立の「漱石 坊っちゃん之碑」(道後温泉本館東側)
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【参考文献】
大岡昇平『小説家夏目漱石』筑摩書房 1988年5月

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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

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