汽車に化ける狸

汽車に化ける狸などというのは松山の毘沙門狸(ブログ本年10月8日記事参照)だけかと思っていたが、他にも例はあるらしく、柳田国男の「狸のデモノロジー」(大正7年9月)には

東海道の鉄道沿線には狸が能く汽車の真似をする。先づ遠くに赤い灯光が見えると思ふと次第にガーガーと凄じい音響が加はるので何であらう、貨物列車も通る時間ぢゃないと思うて間近くなるや、灯光は車輪の響と共にバッタリ跡方もなく消え失せる是は狸の仕業だといふ話もある。


とある。同論考には蒸気船に化ける狸の話というのも出ている。

又常陸の霞浦附近は即ち土浦辺では能く狸が河蒸気の真似をしてポーポーッと威勢能く入って来る。今夜は常よりも少し早く這入って来たなと思って岸に出て見ると何の影もないと云ふ話も聴いた。


いずれも鉄道や蒸気船がまだ珍しかった時代にできた話であろう。狸というのは時代の新しい事物に化けようとするものであるらしい。

【参考文献】
『柳田国男全集』第25巻 筑摩書房 2000年2月

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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