正岡子規『富士のよせ書』-富士山に関する一大アンソロジー

正岡子規が五百木飄亭と共同で編纂した『富士のよせ書』(講談社版『子規全集』第20巻所収)。詩人の大岡信は新潮社「とんぼの本」シリーズ『富士山』の稿をなすおり、子規編纂のこの書を大いに活用したという。

追って記す。この稿を書くに当たって、正岡子規・五百木飄亭の編著「富士のよせ書」の偉大な仕事に負う所大だった。(大岡信「富士の歌-文化としての富士」『富士山』)


大岡信は『正岡子規-五つの入口』という著作の中でも子規のこの書にふれている。

私は、もう十年ほど前になりましょうか、新潮社から「とんぼの本」というシリーズが出ていまして、そこに『富士山』というのを頼まれて、書きました。私は生まれたところが富士山の麓ですから、そういう縁もあって、一度書いてみないかと言われて引き受けたのですけれど、そのときに、ちょうどこの全集(引用者注-講談社版『子規全集』)が出始めていました。それで、子規のこれ(引用者注-『富士のよせ書』)を見て仰天しました。
ですから、これはずいぶん使わせてもらいました。(中略)この中に拾われているものには、いまは活字本からそういうものを拾おうと思っても、国文学の全集本などにも入っていないものがいっぱいあるわけです。これらはもちろん子規が江戸時代に出た本を古本屋などで集めてきて、編纂したものです。そういう古書はいまではもう散逸してしまって手に入りませんので、このようなアンソロジー、富士に関する、日本文学および歴史書の中から拾われた散文ならびに詩歌の一大アンソロジーといっていいようなものを編んだ、という点で、たいへんな功績があったと言わねばなりません。これだけでも、りっぱな学問的業績になるわけです。


『富士のよせ書』は子規のおこなった研究活動の成果の一つ。子規の華々しい文学活動の背後にはこうしたじみちな研究の営みがあった。

【参考文献】
『子規全集』第20巻(研究編著)講談社 1976年3月
大岡信・他『富士山』新潮社 1987年1月
大岡信『正岡子規-五つの入口』岩波書店 1995年9月

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テーマ : 歴史上の人物
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