『富士のよせ書』-子規と富士山

『富士のよせ書』は正岡子規が数え年24歳の頃に五百木飄亭と共同で編纂した「富士山事典」ともいえる書。数多の古書の中から富士山に関する記事を拾い集め、ジャンル別に配列した書で、日本人が古来、富士をどのように見てきたかということがこれ一冊でわかるという仕組みになっている。講談社版『子規全集』では第20巻「研究編著」に収録されているが、上下2段組で250ページをこえる分量、飄亭の協力があったとはいえ、これだけの量の記事をよく拾い集めたものだと感心させられる。

子規は富士山には多大の関心を寄せていた。随筆では「東洋八景」「山」「画」などで富士山に言及。新体詩にも「直立一千二百丈 足もとよりぞ起りける」で始まる「富士山」がある。短歌、俳句にも富士山を詠んだものが数多くあるが、以下の三首の歌は特に印象深い。

うれしくものぼりし富士のいたゞきに足わなゝきて夢さめんとす
足たゝば不盡(ふじ)の高嶺(たかね)のいたゞきをいかづちなして踏み鳴らましを
富士を踏みて帰りし人の物語聞きつゝ細き足さするわれは


いずれも病臥の身となってからの歌。富士山に登りたいというかなわぬ思いが子規にはあった。

【参考文献】
『子規全集』第6巻(短歌 歌会稿)講談社 1977年5月
『子規全集』第8巻(漢詩 新体詩)講談社 1976年7月
『子規全集』第12巻(随筆2)講談社 1975年10月
『子規全集』第20巻(研究編著)講談社 1976年3月

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テーマ : 歴史上の人物
ジャンル : 学問・文化・芸術

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