大伴家持「なでしこ」の歌

なでしこがその花にもが朝(あさ)な朝()な手に取り持ちて恋ひぬ日なけむ(3・408)
我がやどに蒔()きしなでしこいつしかも花に咲きなむなそへつつ見む(8・1448)
なでしこが花見るごとに娘子(をとめ)らが笑()まひのにほひ思ほゆるかも(18・4114)


いずれも『万葉集』大伴家持(718?-785)の歌。歌意は「あなたが、なでしこのその花であって欲しい。そうしたら、毎朝毎朝、手に持って、恋い慕わない日などないだろうに」(3・408)、「我が家の庭に蒔いたなでしこはいつ花ひらくだろうか。花ひらいたらあなただと思って眺めよう」(8・1448)、「なでしこの花を見るたびにいとしい少女の笑顔の美しさが思われてならない」(18・4114)。

なでしこは秋の七草の一。大伴家持はこの花の可憐な風姿を格別に好んだ。なでしこを愛する女性に見立てて歌を詠んだのは家持が最初で、それまでは木に咲く花(梅、桜、橘など)を女性に見立てるのがつねであった。

【典拠文献・参考文献】
伊藤博『萬葉集釋注 二』集英社文庫 2005年9月
伊藤博『萬葉集釋注 四』集英社文庫 2005年9月
伊藤博『萬葉集釋注 九』集英社文庫 2005年12月
竹田美喜『竹田美喜の万葉恋語り』創風社出版 2011年6月

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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